SLIM計画ってのはたしか10年くらい前から地味にやってた話でして
昨日今日降ってわいた計画じゃないんですよね
月着陸っつって、そのころから「ピンポイント着陸」 で計画してまして
一応、 そのころからSLIMの公式ページがあり、思い出したころに追っていたので経緯は 中途半端にみています。のでその辺の話をふんわりと総括。
世間では5か国目の快挙ってことになっていますが
月着陸計画つーなら2007年のかぐやのころにも、 小型の着陸船を積んでいくプランがあって
「できまっせやらせてください」って言ってたのが「今回は、 ハイビジョンカメラ優先な」 ってなって採用されなかったりするんですね
何カ国目の快挙という名誉が欲しかったなら、その時にやってるわけでさ
なんというかほかの国のように、国家の威信とか国威掲揚とかではそもそも予算が下りずらいので す
ただの着陸だと「よその子がもうやってるでしょ」ってなるので
かぐやの2007年でもやりゃあできたと思います
よそんちができたのだから、できて当たり前、 快挙でもなんでもないってことなのですね
というわけで、SLIMに予算が下りたのは、 ピンポイント着陸だからこそであって、というか月着陸に予算を下すために無理くりこうでっちあげたというか
いやいや、実際この技術は今後重要になってくるはずなので、 基礎技術を研究しといたほうがいいことで、 その名目の研究で予算が下りているのです
当初は2010年代に実行を目指すって話だったんですが
その後、 予算がついたりつかなかったりロケットの順番待ちがあったりでこの時期になってるので
そのへんはホント、国の威信とかとかかけ離れた視点で動いているのですヨ
あと、 普通は数日で行ける月まで4カ月かかっているのだが
それは早くいく技術がないということではなく
SLIM計画は月行きのコストもスリムにするのが目的なので、 本体重量も軽くし、燃料も押さえて経費削減につとめている。
4カ月かけているのもそのためで、実は地球から移動距離は、 通常の月探査機よりもはるかに長い。
これですもん。月の軌道のはるか外側までいって帰ってきてるんですよね。
そして4ヵ月かかるこの軌道こそが実は変態技術と言われたJAXAの技術です
お金のないISASの涙ぐましい節約術とでもいうべきか
もっともこの低コスト化は今回は初手から失敗というか、目論見からはずれていて
今回の打ち上げにつかったH2-Aの費用が277億円で、 相乗りしてるといっても140億ほどの打ち上げということになる 。
そこまでやれれば、H2-A1回の打ち上げコストで、 なんと10回近くSLIMの打ち上げができることになる。
ピンポイント着陸と低コスト化それがSLIMの目標です。
低コストにこだわる理由は数をやりたいわけですよ。理由は、 あちこちで探査をできる、というのもあるですが
むしろ、同じところに何度も着陸する。
あとね、ロボ。
今回もSORA-Qを持って行ったし、 少し前にISSにもキロボなんてロボットを持って行ってたりしてるわけですが
キロボはおしゃべりクソロボットくんなわけですが、 もう少し簡単な作業ができるように改造したやつね。 それをとりあえず10体とか持っていく。あとルンバ?的なやつ? それも10台くらい?
SLIMの研究でどういう先がみえてくるかという話というのを
若干の妄想を絡めたはなしとして語ってみる
月面で100m四方程度の平坦な場所を見つけ、 キロボ改に石ころをよけさせ、ルンバ改で整地する。
SLIMが安全に着陸できる専用の着陸場所です。月面の宇宙港ですよ。すげえ(言い張ったもの勝ち!)
宇宙港に到着したSLIMは単体では移動できませんが、 そんなん、 キロボとルンバに運ばせて宇宙港の隅の方に寄せておけばいい。
月探査衛星のかぐやは3トンくらいあるのですが、 SLIMはなんと驚異の200㎏。
月の重力は1/6ですから33㎏重。 実は今月面で傾いている実機も、 成人男性が現地にいればひょいっともちあげてなんとかできる重さだったりも するんですね。まあいけないですが
それでもルンバとキロボが各10体いればワンチャンなんとかならんでもない重さ です
あとはね、穴掘り。
キロボにつるはしもたせて穴を掘らせ、 ルンバに土を運搬させ地下にスペースを確保する。
月面基地(ロボ用)の完成です。すげえ
キロボとルンバ用サイズなので、そんな大きくなくてもいいんですよ。
そこまでできればとりあえず、ロボットが 継続して作業ができる環境が確保できます。
あとはひたすら穴掘り。ロボ基地を人間サイズに拡張し、 酸素や物資を搬入し密閉し
完成すればそのまま月面基地(人用)になりますです。
人間が月に行くのはそれからでもいい
とまで言っちゃうと、 いまやってるアルテミス計画とかち合っちゃうので
JAXAも、両方必要だと言ってますが、 SLIM立ち上げ当時は今よりロボよりでビジョンを考えていたようです。
アルテミス計画で月面基地(計画あり) ができたところで、基地の外はもちろん極環境ですし
簡単であれ作業をロボットができるとなると月開発には強みになりま す。
JAXAの言う通り月を本当に開発したいのなら、 両方必要ですよね
上の妄想話もキロボだのルンバだの、 シロウトのワタクシが現実にも手に触れることのできるアイテムに置 き換えて話していますが
実際やるとなればもっと作業特化の専用機を持ち込めばいいのですし
SLIM自体もモノを運ぶようにはできていませんし、それ用の機体を用意する
それも技術は応用できるし、今、存在するモノで素人のワタクシが与太話でも比較的現実的な話ができる、というのキモです
それほど実際に月面基地とか宇宙港とか実は与太話、 妄想話でもなくなっていますって話です。
そしてその基礎技術としてのSLIMなわけなんですよ。
50年前のアポロ計画以降、人類は月にいかなくなった理由ってのは簡単なもので
行く意味がないからですね。
こういう話を踏まえてみると
60点という数字もなんとなく判るデショ。
今回は、着陸の機体制御のデータが一番重要なんですね